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行ってきた​レポート vol.6 ​「第四回 銀座名匠市」​(中編)

こんにちは。
「第四回 銀座名匠市」​(2026年2月18日-23日開催)​〈中編〉です。
「銀座名匠市」は、​日本の​伝統的工芸品が​集う​約1週間の​お祭り。​全国から​約90産地の​作り手が​松屋銀座に​集結しました。

東北が​育んだ麗しき箪笥

〈岩谷堂簞笥〉岩手
昨年の​名匠市でも​気に​なっていた​岩谷堂箪笥。

岩谷堂簞笥の​起源は​平泉が​栄えていた​頃の​康和年間​(1100年代)、​藤原清衡が​産業奨励に​力を​注いだ​時代に​さかの​ぼると​伝えられています。
その後、​文政年間​(1820年代前後)に​徳兵衛と​いう​鍛冶職人が​彫金金具を​考案。

昭和30年代には​生産が​低迷しましたが、​伝統の​技術を​守る​ことが​発展の​道と​確信し、​苦しい​時代を​乗り切り現在に​至ります。

中学生の​時に​行った​平泉は​私に​とって​印象深い地。​金色堂に​魅了され、​義経が​北へ​逃れモンゴルで​チンギス・ハンに​なったと​いう​義経北行伝説に​夢中に​なった​あの頃。​ここは​素晴らしい​文化圏を​形成していたんだな、と​感じた​当時の​感覚が​蘇りました。

岩谷堂簞笥の​特徴は、​優美な​杢目と​それを​際立たせる​漆塗り、​そして​重厚感​ある​金具。

金具に​霊獣、​特に​龍が​いる​箪笥が​欲しくて​探していたので、​この​美しさは​とても​嬉しい。​ハンドルにも​丁寧な​仕事が​施されています。

龍が​好きで。​タイの​Wat Samphranに​行ったのを​思い出した。

魅了されたのが、​からくり。
表面上同じように​見える​引出しなのですが、​取り出すと​奥行の​サイズが​違うのが​分かります。

奥に​小さな​隠し引出しが​見えます。
昔、​嫁入り道具に​娘に​持たせた​箪笥。​嫁ぎ先で​何か​あった​時に​使うよう、​ここに​価値ある​ものを​忍ばせたと​いいます。​また、​高度な​職人技で​作られた​箪笥は​機密性が​高く、​水に​浮くので​大切な物を​守る​金庫の​役割と​しても​機能する​そうです。

そう​いえば​小さい​時、​箪笥の​引き出しを​戻すと​フゥワーと​いう​音が​鳴って​別の​引き出しが​出てくるのが​楽しくて​遊んだ​記憶が。​この​空気圧を​利用した​仕組みは​機密性が​高い​箪笥独特の​ものだったんですね。​これは​泥棒対策の​音出しだったようです。​凄い​職人技!

二重底も。
時代が​変わっても、​こうした​ものを​つくり続け、​技術を​保存する​意識は​とても​崇高で​美しい。

〈仙台箪笥〉宮城
江戸時代の​終わり頃、​仙台藩城下町に​集住した​職人たちに​より​生まれた​仙台箪笥。

欅や​栗など​木目の​ハッキリした​木材を​使用し、​鏡面のような​美しい​仕​上がりと​強度を​もつ​木地呂漆塗りが​施されています。​仙台箪笥の​特徴である​豪華な​金具。​繊細さと​大胆さの​バランスが​秀逸です。

「仕込み」と​いって、​押入や​神棚などには​め込める​形で​つくるのも​仙台箪笥の​特徴の​ひとつ。​人々の​集まる​場所に​置き、​部屋を​装飾する​役割を​担うので​金具が​とても​壮麗。

伸びやかで​ダイナミック。
現在でも​指物、​漆塗り、​金具の​3工程全て​分業の​職人の​手作業で​行われています。

古くなった​仙台箪笥は​職人さんた​ちが​蘇らせてくれます。
金具を​はずし、​木地を​削り直し、​漆を​塗り​替える。​伝統の​技を​受け継ぐ​職人さんが​いてくれると​いう​安心。

ずっと​欲しかった​霊獣の​箪笥を​形に​して​もらう​タイミングが​来たかな。​高揚感を​いただいた​東北の​箪笥でした。

木と​対話しながら生まれる​美

〈薩摩つげ櫛〉鹿児島
あー懐かしい!と​足を​とめた​薩摩つげ櫛。​実家に​あった​よね、​小さい​頃これで​髪とか​してたよね。

〈喜​多つげ製作所〉の​方に​お話を​伺いました。
鹿児島の​薩摩地方は​銘木薩摩つげの​産地。​江戸時代から​「櫛に​なりたや​薩摩の​櫛に​諸国の​娘の​手に​渡ろ」とう​たわれ、​全国に​その​名が​知られていた​名品。

年輪幅が​狭いつげは​きめが​細かく​弾力が​あり、​耐久性に​優れているので、​一生ものの​道具と​して、​かつては​嫁入り道具の​一つと​しても​持参されていた​そうです。​また、​つげの​櫛は​静電気が​発生しに​くく、​椿油で​手入れするので​髪に​艶と​潤いを​与えてくれます。

美しい​彫刻が​施された​ブラシ

素材と​対話しながら​製作されると​いう​姿勢に​とても​感銘を​受けました。

〈秀衡塗〉岩手
華やかな​蒔絵に​吸い寄せられた​秀衡塗。​その​名が​現すように、​平安時代末に​平泉で​栄えた​奥州藤原氏第3代当主・藤原秀衡が​京より​職人を​招来し、​この​地方​特産の​漆と​金を​ふんだんに​使い、​器を​造らせたのが​起源と​されています。
ああ、​また​平泉だ。​煌びやかなのに​どこか​落ち着きが​あって、​シック。

1904年に​初代・清之助が​「丸三漆器工場」と​して​創業した​〈丸三漆器〉。​木地作りから​加飾まで、​15以上にも​およぶ​工程を​熟練の​職人が​一貫して​手が​ける​工房です。

切り出された​丸太は、​変形の​原因に​なる​ことから、​長い​ものでは​10年以上の​期間を​乾燥に​費やすと​いう。​熟練の​職人が​それら​丸太を​椀の​形に​仕上げ、​その後、​漆を​しみこませ、​木地を​固め、​継ぎ目に​和紙を​張り強度を​固めます。​そして​仕上がりを​想像しながら、​8回ほどの​工程を​経て​美しい​塗りが​完成します。

欲しかったのは​古代の​漆絵を​再現した​重箱と碗。
伝統柄なのに​モダン。​スッと​気高いのに​愛らしい。

蒔絵は、​長年の​経験を​積んだ​職人が​季節や​その​日の​状況を​見極め、​風呂​(漆を​硬化させる​ための​箱)で​乾かす​時間や​タイミングを​計りながら​描かれます。

職人さんたちの、​人生の​多くの​時間を​費やしたであろう​膨大な​作業量に​よって​培われた​技術と​勘に​よって​生み出される​ものたち。​こんな​美しい​手仕事は​仕舞い​込まないで、​日常に​使いたい。​いつも​見ていたい。
「大皿も​作って​欲しい!」と​勝手に​リクエストしてきました。

〈鎌倉彫〉神奈川
紅と​青の​タコに​呼び止められた、​森本勒弥・美保子さんが​運営する​〈浮彫社〉の​鎌倉彫の​お皿。

鎌倉彫は、​カツラや​イチョウなどの​木地に​文様を​彫り、​その上に​漆を​塗り重ねて仕上げる​伝統的工芸品。
鎌倉時代に​宋から​伝わった​美術工芸品に​影響を​受け、​仏師達が​仏具を​作ったのが​始まりと​伝えられています。

タコたちは​楽しそうに​裏側まで​ぐ​ぃーんと​あしを​伸ばしていました。

柘榴も​縁を​超えていて。​こぢんまりと​収まらないで​ダイナミックには​み出ている​感が​素敵。​紋様​その​ものが​生き生きと​蠢いている​様に​惹かれる。​緑の​サラダを​ざばっと​盛りたい。

羊歯も​美しかった​こと!​繊細な​彫りと​伸びやかな​空間の​使い方に​見惚れました。

〈京漆器〉京都
ハッピーな​お盆の​ミッキーと​目が​合ってしまった。
創業から​200余年、​京漆器の​技を​伝承し日本の​美意識を​保存する​〈漆器の​アソベ〉が​手がけた、​オールドミッキーの​丸盆。

京の​目利きに​育まれた​〈漆器の​アソベ〉が​ミッキーとな。​この​ギャップに​「美しき​遊び」を​感じて​連れて​帰りました。

「第四回 銀座名匠市」​(後編)に​続く。

※本年の​開催は​終了いたしました。

バックナンバー

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.5

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ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.2

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Lulu.


2010年~2021まで​11年間、​VOGUE JAPAN で​ブログを​執筆。​馬と​博物学的世界、​ムー的世界を​愛し、​不思議を​視たい!と​旅に​出て、​「好き」と​「感動」を​掻き集める。​高校時代に​障害飛越にの​めり込み、​今は​たまーに​外乗を​楽しむ50代。​現在は​noteで​発信。