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行ってきた​レポート vol.7 ​「第四回 銀座名匠市」​(後編)

こんにちは。

「第四回 銀座名匠市」​(2026年2月18日-23日開催)​〈後編〉です。
「銀座名匠市」は、​日本の​伝統的工芸品が​集う​約1週間の​お祭り。​全国から​約90産地の​作り手が​松屋銀座に​集結しました。

職人の​神業から​生まれた​「1/f の​ゆらぎ」


〈高岡銅器〉富山

澄んだ​音色に​惹かれて​立ち止まった​高岡銅器の​ブース。​百十余年、​仏具に​携わってきた​〈山口久乗〉の​おりんの​響きでした。
場を​浄化し、​心を​落ち着かせてくれる​梵音具の​ひとつである​おりん。

久乗おりんの​音の​解析を​日本音響研究所に​依頼した​ところ、​波の​音や​小鳥の​囀り、​炎の​揺らめきなど、​自然界の​現象に​存在する​心地よいゆらぎである​「1/f ゆらぎ」の​波形を​持つことが​わかった​そうです。

イエントゥ​(ベトナム)と​シャスタ​(カリフォルニア)で​体験した​シンギングボウルを​思い出しました。
すべての​ものを​細かくしていく​と​素粒子に​なり、​それらは​常に​振動していて、​臓器なども​それぞれ固有の​周波数を​持っています。​汚染された​環境、​ストレスなど​様々な​要因で​それらの​持つ純粋な​周波数が​乱れると、​体調に​変化が​出てきます。
ボウルの​縁を​擦る​ことで​心地よい​音​(振動)を​発生させ、​それぞれの​音が​乱れた​周波数を​再調整すると​いわれています。

外側の​7つは​セット。​倍音、​共鳴ね。

アメリカで​生まれたのが、​クリスタル製の​シンギングボウル。​非常に​安定した​結晶​体と​して​存在する​水晶も、​周波数の​乱れを​整えてくれると​いう。

前漢の​司馬遷が​完成させた​『史記』に、​十二支それぞれに​大切な​音が​あると​記されている​そうです。​〈久乗おりん〉には、​それぞれの​干支の​音に​調律したおりんが​あり、​十二支の​音を​一堂に​揃えた​「音曼荼羅」も​ある​そう。
高岡駅で​耳に​する​発車音も、​高岡市立の​小中学校の​チャイムも​久乗編鐘の​奏でる​音色なんだそう。​素敵!

JR高岡駅の​コンコースに​置かれている​「音曼荼羅」。

ふんわりと​包まれ護られているような​響き。​聴く​人の​脳波に​α波の​増加が​見られ、​リラックス効果が​あると​確認された​音色。​「1/f ゆらぎ」を​持つこの​音を​御守りのように​手元に​置いて​おきたい、と​思いました。

歴史と​文化を​伝える​墨

〈墨・彩煙墨〉和歌山

カラフルな​墨に​目を​奪われた​墨工房〈紀州松煙〉の​彩煙墨。​2000年前から​続く​伝統の​墨作りを​守り続けている​工房です。

煤、​膠、​顔料で​構成される墨。
墨には​「油煙墨」と​「松煙墨」が​あり、​その​違いは​煤。​菜種油、​胡麻油などの​植物性油脂を​燃やした​煤からは​油煙墨、​松材を​燃やした​煤からは​松煙墨が​つくられます。
松の​木が​豊富な​和歌山県田辺市鮎川は​松煙墨で​有名。

堂々と​美しかったのが、​自家製の​松煙を​100%​使用した​松煙墨​「紀州墨」。​松を​燃やして​採った​煤は​焚き火の​匂いが​します。​この​良い​香りを​活か​すため香料を​入れていないと​いう。​硯で​磨る​時に​自然な​香りが​楽しめる​麗しい墨。

墨職人である​堀池雅夫さんが​開発した、​カラフルな​「彩煙墨」。​煤と​膠を​混ぜる​時に​同時に​顔料を​加えて​つくられます。

「彩煙墨」は​堀池さんが​つくった​造語。

自然で​美しいに​じみと​透明感が​あり、​混色や​重ね塗りも​自在。​黒い墨との​混色に​より​黒味を​調整できたりします。
「青、​黄、​赤。​この​3色だけで​多彩な​変化を​楽しめるよ」と​実演してくださいました。

パレットも​気軽な​プラスチック製で​OK。​ザラついた​表面が​「鋒鋩​(ほう​ぼう)」の​役割を​担ってくれて、​墨が​磨れる。
水墨画の​世界に​色が​ついた。

墨を​つくる​こと、​描く​ことを​純粋に​楽しんでらした​堀池さんが​描いた​七福神。​「彩煙墨」からは​賑やかで​ハッピーな​エネルギーが​伝わってきました。

〈奈良墨〉奈良

〈古梅園〉の​美しい​油煙​「官双鳳」に​吸い寄せられた​奈良墨の​ブース。​1981年寒中製造の​枯墨と​あります。​枯墨とは、​余分な​水分が​乾燥し、​膠の​特性が​安定した​墨の​こと。​墨が​真価を​発揮するのが、​製造後20年〜50年経った​頃だそう。

なんて​スケール。​生半可な​己のゆる​みを​ビシッと​正された​気が​しました。

奈良市で​生産されている​奈良墨。​固形墨の​国内シェアは​95%に​の​ぼります。
墨は​推古天皇18年に​日本にも​たらされた​と​伝えられ、​室町時代に​興福寺二諦坊の​煤で​つくった​油煙が​奈良墨の​始まりと​されています。
その​工程は​熟練の​職人の​繊細な​技を​必要と​する​ため、​今な​お手作業で​行われています。

小学校以来、​筆を​手に​したことがなかった​私ですが、​突然​「古代文字を​書きたい」と​いう​衝動に​駆られ、​まずは​美しい​世界を​拝見しようと​最初に​訪れたのが、​創業1577年の​〈古梅園〉でした。​ど素人の​私に​墨の​世界を​丁寧に​説明してくださり、​いつか​ここの​墨を​堂々と​手に​してみたい!と​帰路に​ついたのを​思い出しました。​トロッコの​レールが​続く​奥の​空間に​ただなら​ぬ気配が​漂っていたのが​印象に​残っています。
甲骨文字から​鳥蟲書へと​興味が​移り、​習い​始めたばかりなので​ヘッタクソですが​楽しみながら​書いています。

シックな​色と​パッケージデザインが​素敵だった​「彩美墨」。​古梅園の​高級油煙墨と​吉祥の​高品質顔料を​練り合わせものです。

千年以上​経っても​消える​ことの​ない墨で​書かれた​文字。​なんて​生存能力が​高い​筆記具。
墨の​香りを​感じながら硯に​向かうのは、​ゆっくりと​心が​解ける​時間です。

両面染め上げる​江戸の​技巧

〈東京本染注染〉東京
愛らしい​馬に​呼ばれた​〈東京本染注染〉の​ブース。
注染とは、​染料を​生地に​注ぎ染める​染色技法で、​生地の​両面が​染め上がるのが​特徴。​150年以上​続く​注染は​日本独自の​染色技法で、​多くの​工程を​熟練の​職人が​手作業で​行っています。

〈東京和晒〉の​「花馬」​手ぬぐい​(右)

ぼかしとにじみの​妙が​美しい。
手ぬぐいで​コートを​仕立てたいと​思って​集めているので、​こんなに​集結してくれていると​嬉しい。

なんと​いっても​UFOが​よかった!​葉巻型に​アダムスキー型、​土星型〜と​様々な​種類の​UFOが​富士山上​空に​集結してる。​ついに​開示されるのか…​ワクワク。

〈東京和晒〉​「UFOサミット in 富士山」

清らかで​強い​エネルギーを​感じたしめ縄

〈伊勢の​神殿〉三重

蘇民将来の​文字が​目に​飛び込んできて​見入った​しめ縄。
伊勢神宮内宮正殿の​「唯一神明造」を​忠実に​模した​茅葺神棚や​神具を​手仕事で​造り上げている​〈伊勢宮忠〉の​しめ縄。

スサノオノ命を​歓待した​蘇民将来が、​その​子孫と​共に​疫病から​逃れたと​いう​伝説を​起源と​する​護符。
この​話を​知ったのは​確か​高校の​時。​「そみんしょうらい​・こたんしょうらい」と​いう​不思議な​語感が​今でも​残っていて、​反応してしまった。

しめ縄を​一年中飾るのが​伊勢の​風習なんだそう。​その​ため、​とても​丈夫な​つくりに​なっています。

ベースと​なる​稲藁は​コシヒカリと​伊勢錦。​青く​美しい​ものが​選別されます。

門符の​取り付けに​使用されているのは​本麻苧。​麻苧とは​麻や​苧​(からむし)の​繊維から​作られる​神聖な​紐の​こと。​神事に​使う麻なので​栃木県野州産の​大麻が​使われています。​国内での​生産者数が​10件ほどと​いう​貴重な​大麻です。
清らかで​強い​エネルギーを​感じた​伊勢の​しめ縄でした。

硫黄燻蒸なしの​強い​麻苧で​護符が​取り付けられています。

この​名匠市で​様々な​「美」に​出会いました。
携わる​すべての​職人さんの​誇りと​喜びが​美を​形成する。​その​美しさは、​ものが​経てきた​道のりを​想像させ、​丁寧に​つくられた​ものに​誠実に​向き合う​意識を​促してくれます。​消費、​消えて​なくなる​ものに​費やすのではなく。

一緒に​ゆったりと​過ごしていきたい​麗しきものが​集結していた​「第四回 銀座名匠市」でした。

※本年の​開催は​終了いたしました。

バックナンバー

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.6

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ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.5

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ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.4

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ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.3

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ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.2

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ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.1

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Lulu.


2010年~2021まで​11年間、​VOGUE JAPAN で​ブログを​執筆。​馬と​博物学的世界、​ムー的世界を​愛し、​不思議を​視たい!と​旅に​出て、​「好き」と​「感動」を​掻き集める。​高校時代に​障害飛越にの​めり込み、​今は​たまーに​外乗を​楽しむ50代。​現在は​noteで​発信。