メインコンテンツへ

その​他|その​他

行ってきた​レポート vol.8 ​「第7回 銀座・​暮らしの​商店街」​(前編)

こんにちは。

今回から​3回に​わたり​「第7回 銀座・​暮らしの​商店街」​(2026年4月15日-20日)を​レポートします。

暮らしの​なかで​使われてきた​道具を​集めた​商店街が、​今年も​銀座の​街に​やってきました。

エスカレーターを​上ったら​グランピエの​世界が​広がっていました。

遠い​異国の​民芸

〈西洋民芸 グランピエ〉

1971年、​京都の​銀閣寺・白沙村荘の​橋本関雪の​アトリエだった​洋館の​地下で、​スペインの​民具を​扱い​誕生した​グランピエ。​以来、​スペインを​はじめインドや​中近東、​南米など​世界の​民芸を​取り扱っています。
30年以上​前、​私が​学生時代に​流行った​エスニック、​まず​覗くのが​青山の​グランピエでした。​ここで​購入した​南米の​カラフルな​カゴで​大学に​通っていたのを​思い出しました。

グランピエと​いえば​キリム。​乾いた​風と​砂漠の​風景が​広がります。

コミカルな​表情の​インドから​来た馬。
馬好きなので​吸い​寄せられる。

この​馬も​インドから。

インドの​護符にも馬。​ペンダントヘッドに​して​ジャラジャラ重ね付けしたい。

あっ、​菅野さんの​服。​グランピエと、​菅野さんが​主宰する​KANNOTEXTILEの​協働で​生まれた​カシュクールが​並んでいました。

菅野さんは、​国内の​アパレルに​勤務し、​ウイリアム・モリスや​エトロなどの​生地見本を​触る​日々の​中で​布が​好きな​自分に​気付いたと​いいます。​そして​個人の​好き嫌いに​左右されない​「いい​もの」とは​何か、​「ずっと​素晴らしい」と​思える​ものとは​何かを​求め世界一周の​旅に。​旧ソビエト圏を​中心に​応用美術に​関する​調査研究と​自身の​制作を​始めます。
菅野さんの​布を​捉える​視座の​高さが​服に​反映されています。

2018年に​グランピエで​取材させていただいた、​KANNOTEXTILEの​『天鵞絨​(てんが​じゅう)の​布』を​思い出しました。​日本では​天鵞絨と​呼ばれていた​布、​ヨーロッパに​入る​前の​プリミティブな​ヴェルベットの​ことです。

2018年グランピエでの​KANNOTEXTILEの​展示

シルク混の​しなやかな​ベージュに、​ローマングラスの​青が​美しく​寄り​添っていました。​金の​留め具が​アクセント。

ローマングラスとは、​ローマ帝国​(B.C.27年-395年)​領内で​つくられた​ガラスの​こと。​キラキラ光っている​部分は、​ガラス成分が​土に​含まれる​鉄や​マグネシウムなどに​より​銀化した​ものです。

遠い​異国の​風を​運んでくれる​グランピエでした。


暮らしの​中の​頼もしい​道具たち

〈松野屋〉
美しい​ディスプレイに​足を​止めた​松野屋。
日常に​ある​道具たちを​こんなに​生き生きと​脚立に​集結させた​センスに​惚れ惚れ。​滑りにく​い特性を​持つこの​脚立は、​青森県の​ヒバの​木で​作られ、​りんごの​収穫に​使用された​もの。​アルミ製が​主流である​今、​木製脚立は​貴重な​存在。

1945年創業の​松野屋は、​自然素材を​中心とした​生活道具を​あつかう​荒物問屋。​「民衆的手工藝」と​違い、​より​日々の​生活に​根差した​「民衆的手工業」から​生まれる​道具を​取り扱っています。

コロンとした​「トタン豆バケツ」には、​ザバッと​草花を

経年変化が​愉しめそうな​茨城の​「真竹椀か​ご」には​根菜や​果物を​入れたい。

この​「水玉ピンチハンガー」!​懐かしい。

腐食しやすいアルミに​表面加工​(陽極酸化皮膜)を​施したのが​アルマイト。​日本の​技術です。
理化学研究所の​鯨井恒太郎、​植木栄両氏が​蓚酸法を​発明したのが​その起源。​後に​宮田聡氏が​実験を​重ね、​1929年に​「蒸気封孔法」を​特許登録。​アルマイトと​いう​新素材の​誕生です。
昔、​給食の​食器は​アルマイトだったなー。​今は​アウトドアで​活躍ね。

松野さん​ご自身で​縄の​ハンドルを​取り付けたと​いう​バッグが​素敵でした。​大きさも​いいし、​セルフヴィンテージ感がとにかく​格好良かった。

強く​主張せず、​静かに​そばに​いてくれる​頼もしい​道具。​それを​コツコツと​生み出してくれる​町の​職人さんたち。​日常の​中に​ある​小さな​美しさを​感じさせてくれた​松野屋でした。

〈縁日〉
疾走する​馬に​引き寄せられた​岩手県の​縁日の​ブース。​

縁日は​岩手の​文化を、​土地から​滲み出る​美しさを​掬い​取り再編集し伝える​ショップです。

岩手と​いえば​私の​中で​浮かぶのが​「おしらさま​(馬娘婚姻譚)」。​その​人が​本当に​求めている​ものを​理解し尊重する​ことの​大切さを​教えてくれた​物語でした。
岩手には​馬と​人とが​一緒に​住む、​曲がり家と​いう​L字型の​伝統的な​建築様式が​あり、​L字の​短い方が​厩舎​(馬の​家)で、​馬が​大切に​されてきた​歴史が​感じられます。​遠野市は​馬術用の​馬を​育成する​土地でも​有名ですね。

そう​そう、​構図が​格好良かった​疾走する​馬の​手ぬぐい。​縁日の​手ぬぐいには​蛍光染料が​使われていません。

力強い​フォルムに​目を​引かれたのが、​170年の​歴史を​持つ南部​鉄器の​工房〈及富〉との​協働で​生まれた​鹿角つき鉄瓶​「鹿鳴」。
約30年前に​廃盤に​なったと​いう​柄を​復刻。​岩手の​自然の​中で​夫婦の​鹿が​仲良く​過ごし、​その横で​小鹿が​安心して​草を​喰む様子が​描かれています。

角は​岩手で​害獣駆除された​もので、​猟師さん​達から​買い上げた​角を​使用している​そうです。

鉄瓶は​飲むたびに​鉄分補給が​できるのが​嬉しいですね。
岩手の​風土が​感じられた​縁日の​商品でした。


落ちわたで​紡ぐゆたかな​暮らし


〈saredo-されど-〉

優しい​色の​糸が​目に​飛び込ん​できた​saredo。
1948年に​奈良県で​創業した​糸商​「萱澤商店」から、​2014年に​生まれた​オリジナルブランドです。
綿糸の​紡績工程で​出る​繊維くずである​落ちわたを​独自の​紡績方​法を​用いて​再生した​糸から​saredoの​製品は​生まれます。

島根県の​綿紡績工場から​出た​コットンの​落ちわた​100%を​再生したリサイクルコットンを、​スペック​染めと​いう​特殊な​染めを​新潟で​施したと​いう​「re-specked cotton​(リ・スペクトコットン)」。​この​染色方​法は、​斑点のような​ムラが​深みや立体感を​生み出すそう。

シルクの​落ちわただけで​紡いだ糸と、​ヴァージンコットンの​落ちわただけで​紡いだ糸を​組み合わせた​「絹の​サーカス」。​それぞれの​糸に​添えられている​イラストも​商品への​愛情が​感じられて​素敵でした。

深みある​美しい​色が​印象的だった​ソックス​「Tortoise」。
ローゲージで​十分な​長さが​あり、​それで​いて​締め付け感が​ほぼないと​いう。​茶や​カーキを、​オレンジ味の​強い茶の​トレッキングシューズに​合わせたい。

3つ​折りに​畳んだ姿が​陸亀の​甲羅に​見えた​ことから​名付けたと​いう​「Tortoise​(陸亀)」。​製品が​ここに​辿り着くまでの​景色を​チラリと​覗ける​瞬間が​好き。​こんな​想いが​織り込まれているのね、では​私は​そこから​何を​受け取り膨らまそうか、とソックスから​ブワッと​世界が​広がります。
こういう​「詰まっている​もの」に​出会えるのは​とても​嬉しい。

「中編」に​続く。
※本年度の​開催は​終了いたしました。


バックナンバー

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.7

詳しくは​こちら

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.6

詳しくは​こちら

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.5

詳しくは​こちら

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.4

詳しくは​こちら

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.3

詳しくは​こちら

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.2

詳しくは​こちら

ファッションライターLulu.の​行ってきた​レポート vol.1

詳しくは​こちら

Lulu.


2010年~2021まで​11年間、​VOGUE JAPAN で​ブログを​執筆。​馬と​博物学的世界、​ムー的世界を​愛し、​不思議を​視たい!と​旅に​出て、​「好き」と​「感動」を​掻き集める。​高校時代に​障害飛越にの​めり込み、​今は​たまーに​外乗を​楽しむ50代。​現在は​noteで​発信。