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ファッションライターLulu.の​「美しいは​嬉しい」​vol.8

ファッションって​知的好奇心を​満たし喜びを​もたらしてくれるんです。​内面の​いちばん外側が​ファッション。
(本記事で​ご紹介する​アイテムは、​松屋で​お取り​扱いの​ない​ものも​あります。​)

2024/10/01

好奇心と​記憶を​纏う。​「Pfütze​(プフッツェ)」の​ジュエリー

こんにちは。
ある​日インスタの​タイムラインに​流れてきた​一枚の​写真。​氣付いたら、​投稿されている​すべての​写真を​見終わっていました。

採集した方の​想いが​伝わってくる​標本箱。

北康孝さん、​賀来綾子さんの​ご夫婦​おふたりが​2007年に​立ち上げた​ジュエリーブランド、​Pfütze​(プフッツェ)の​投稿でした。

私の​記憶の​奥深くに​ちょこんと​いた​小さき​ものが、​沸々と​膨らんでくる​感覚を​覚えました。
「この方に​お話を​伺いたい」。

取材に​向かったのは、​松屋銀座​「デザインギャラリー 1953」で​開催された​個展会場。

この​会場で​個展を​開催するようになって​14年。​「毎年足を​運んでくださる​方​々に、​今まで​見た​ことの​ない、​新しい​ものを​見て​ほしい。」​そんな​思いから、​個展に​合わせて​新作を​発表するようになったそうです。

2024年の​新作は​〈視点〉。
見る​角度や​方​向に​よって、​同じ​物事や​形が​全く​異なる​ものと​して​認識される。​その​現象の​不思議さを​ジュエリーに​落とし込んだ​シリーズ。

〈視点〉ピアス

バングルは​0度/30度の​2種。​両方​付けてみましたが、​似合ったのは​30度の​楕円形。​私は​物事を​斜めから​見ているのかしらねー

〈視点〉バングル斜めの​ラインへの​光の​反射が​印象的だった​30度。

Pfütze​(プフッツェ)は​ドイツ語で​水たまりと​いう​意味。​ドイツ語圏に​いらっしゃる​お身内の​方からの​発案だった​そうです。

〈水滴ガ​ラス〉 板状の​ベネチアンガラスを​手作業で​様々な​形に​カットし、​溶かして​製作した​オブジェ。

「小さい​頃、​水滴が​プルプルと​形を​変える​様を​じーっと​眺めながら​お風呂に​入って​たんですよね」と​北さん。

〈水滴〉​ピアス

プフッツェの​ジュエリーは​自然物・​現象から​発想を​得て、​それらを​形に​落とし込んでいます。

樹木の​葉を​採集し、​型取りして​つくった​〈木の​葉〉。​葉の​表と​裏、​両面から​写し取り1枚に​貼り合わせて​原型を​つくっているので、​どちらの​面も​自然の​質感が​楽しめる。

惹かれたのは​きっと​こういう​妥協なきプロセス。​お話を​伺っている​うちに、​私を​惹きつけた​「何か」の​輪郭が​少し​づつクリアに​なってきました。

〈木の​葉〉ピアス

美大出身の​おふたりですが、​ジュエリー製作の​技術は​独学で​学んだと​いいます。​「母が​彫金を​やっていたのを​見て、​身に​着けていつも​一緒に​いられる​ものが​つくれるんだ、と​思ったのが​きっかけなんです。」と​北さん。

「同じ​ものが​連続しているのが​好きで」と、​最初に​つくった​蜂の​巣。

そう​そう、​私は​この​蜂さんの​巣に​会いたかった。

車の​エンジンなど、​大きな​鋳造も​請け負っていたと​いう​父親、​11匹の​セッター犬と​共に​暮らしていたと​いう​母方の​祖父、​ご自身を​育んだ​高知の​自然と、​そこでの​思い出を​大切に​なさっている​北さん。
お話を​伺いながら​蘇ってきたのは、​懐かしい​記憶。

〈シロツメクサ〉ブレスレット

茎も​丁寧に​愛でる。

〈シロツメクサ〉ネックレス

〈カラスノエンドウ〉ブレスレット

北さんが​小学校2年生の​時に​採集した​貝殻を​収納した​標本箱は、​お祖父様の​お手製。​「拾ってきた​貝殻と​毎日​一緒に​お風呂に​入って、​歯ブラシで​キレイに​して​たんですよね。」

この​写真に​惹きつけられた​意味が​解った。​ここには​柔らかい​愛情と​好奇心が​ぎっしりと​詰まっている。​ プフッツェの​ "Cabinet of Curiosities"。

プフッツェの​ジュエリーには​石が​使われていません。​どうして?と​いう​私の​質問に​「シルバーや​ゴールドを​単なる​石の​土台に​したくなかったんです。​それに​…石を​やるなら​掘りに​行きたいから」と。

あ​あこの​深さだ、​私が​惹かれたのは。​向き合う​対象への​興味の​深度。​それは​情熱とか​熱量と​いう​言葉に​置き換える​ことも​できる。
どこまでも​深く​果てしなく​自由。​プフッツェの​ジュエリーには​この​意識が​貫かれています。

実物を​見て​その​美しさに​感嘆した​〈朝日〉。

〈朝日〉リング

地金で​色を​つくる。​それを​意識したのは​虹を​見た​ときだった​そう。
日本では​7色、​USや​UKでは​6色、​ドイツや​メキシコでは​5色、​ロシアでは​4色などなど、​虹の​色認識は​国に​よって​違います。
色は​無限に​作り出すことができる。​それは​自由を​導き出す作業のように​感じたと​いう。

日本の​四季を​色のみで​表現した​〈四季〉シリーズは、​地金の​色作りから​始まりました。

特注で​調合して​もらったと​いう​色見本の​チップ。

『プフッツェの​ジュエリーに​主に​使っている​金属は​金・銀・銅・プラチナ・パラジウムですが、​この​5種の​配合や​比率を​変える​ことで​多彩な​色が​生まれます。​自然光のもとで​じっくり見​比べて、​やっと​分かる​ほど​微妙な​色の​違いの​ものも。​』ーPfütze

〈四季〉ネックレス

冬が​好きだった。​プラチナと​ホワイトゴールドを​使用した​繊細な​グラデーションを​持つ冬は、​湿度ある​冬と、​キーンと​乾いた​ふたつの​冬を​感じさせてくれました。

〈四季〉冬 ネックレス

プフッツェは​自然の​現象を​もジュエリーに​落とし込んでいます。
見えない​ものを​視る。​そして​それを​身に​着ける​ことができる。​なんて​嬉しい。

太陽系の​惑星を​10億分の​1サイズに​した​〈ナノ〉シリーズ。

〈ナノ〉シリーズ

単位も、

〈ナノ〉ピアス

惑星軌道も​纏える。

〈惑星軌道〉ピアス

〈野原〉シリーズ。​可能な​ものは​採集した​葉の​質感を​表裏とも​型取り、​花は​実物を​観察しながら​ひとつづつ手で​作り上げた​小さな​パーツたち。
サクラソウは​近年は​日本国内での​自生地は​ほぼなくなってしまい、​残っている​自生地は​天然記念物に​指定されている​そう。

〈野原〉パーツ

『日常の​中で​ふと​足元を​見たり、​少し​目線を​変えるだけで​これらの​植物を​見つけられ、​その​小さな​存在の​中に​ある​美しさや​生存戦略の​面白さを​感じられる。​この​当たり前のようでいて​貴重な​ことを​意識に​とめたいと​思い、​この​シリーズを​製作しました。​』ーPfütze

それぞれ草花の​組み合わせが​異なる​10種類の​ピアス。

〈野原〉ピアス

愛しさが​集まった​〈野原〉の​ピアス

デザインから​製作までを​一貫して​行う​プフッツェの​ジュエリー。
自らの​生み出した​ものへの​敬意と​責任が​感じられます。

すべての​シリーズを​実際に​見て​オーダーできるのは​年に​一回の​松屋銀座での​個展のみ。​デザイナーが​在廊し、​プフッツェの​ジュエリーを​愛する​スタッフたちから​話を​伺いながら​手に​する​ジュエリーは​とても​愛おしい。

懐かしくも、​どこか​ここじゃない​「遠く」へ​運んでくれる​プフッツェの​ジュエリー。​もう…​来年の​個展が​待ち遠しいです。

〈海辺〉ブレスレット

本記事は、​2024年6月に​イベント出店した​ブランドの​商品を​ご紹介しております。
コラム内に​掲載している​商品は、​常設では​取り扱いの​ない​商品と​なります。

バックナンバー

ファッションライターLulu.の​「美しいは​嬉しい」​vol.7

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ファッションライターLulu.の​「美しいは​嬉しい」​vol.5

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ファッションライターLulu.の​「美しいは​嬉しい」​vol.4

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Lulu.


2010年~2021まで​11年間、​VOGUE JAPAN で​ブログを​執筆。​馬と​博物学的世界、​ムー的世界を​愛し、​不思議を​視たい!と​旅に​出て、​「好き」と​「感動」を​掻き集める。​高校時代に​障害飛越にの​めり込み、​今は​たまーに​外乗を​楽しむ50代。​現在は​noteで​発信。