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-松屋銀座開店100年-銀座三丁目 百年物語
第12話
おかげさまで2025年、松屋銀座は開店100周年!本連載では、銀座三丁目で繰り広げられた、松屋ならではのあれこれを振り返りつつ、「松屋らしさ」を紐解いてまいります。
スマートな美意識
松屋は1869(明治2)年に横浜で誕生しましたが、もう半世紀ほども「東京にしかない百貨店」であり続け、その中核である銀座店(松屋銀座)は、東京人の支持を受けて、開店100周年を迎えることができました。銀座・有楽町エリアに8つの百貨店があった1980〜90年代にも、この地に本店があるのは松屋だけでした。それぐらい銀座との関係は、切っても切れないものがあります。
松屋銀座は、大きさや豪華さを誇る百貨店ではありません。1世紀におよぶ歴史の中で、常にこの百貨店が貫いてきた個性は、「スマートな美意識」ではないでしょうか。そこが他店との大きな違いであり、東京の(銀座の)地方百貨店としての「松屋銀座らしさ」なのだと思います。
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1978年~の包装紙や袋類
「松屋銀座らしさ」は、包装紙、建物、内装、品揃え、接客、サービス、イベント、広告など、店舗営業のあらゆる面に通底しているスタイリッシュなテイストです。それを好んで松屋でお買い物をしてくださっているお客様のために、ぶれずにその部分を守り通すことこそが松屋銀座のブランディングの根幹であり、この規模の百貨店が長く愛され続ける上で最も大切なことなのではないでしょうか。ロゴタイプをはじめ店舗に関わるすべてを刷新し、大きなインパクトを与えた1978(昭和53)年のCI導入(第8話参照)の際も、インターナショナルな「白い松屋」への変更を行った2001(平成13)年の大リニューアルの際も、そのテイストは守り続けられました。
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2001年~の袋類
松屋のクリエイティブにおいては、「松屋らしさ」のキーワードとして「シンプル/シック/モダン」という言葉が継承されてきました。包装紙も袋類も、店頭のサインも、いや、そもそも「白く輝く箱」である建物自体が、最高にシンプルでシックでモダンではないですか。もちろん、繊細なロゴタイプもそうですよね。つまりは「余白の美学」であり、都会的なのです。そして、それらは江戸から続く「粋(いき)」の美意識を現代に引き継ぎ、開店当初からのモダンで洗練されたテイストを今に伝える、銀座ならではの個性です。銀座というのはただ高級なだけではなく、ただ伝統があるだけではなく、「野暮(やぼ)」を嫌う美意識を持っています。例えば郵便ポストも、朱色ではなくグレーのものを使っている場所もあります。そういうものも銀座の街としての「スマートな美意識」なのです。
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松屋銀座もその個性を貫くために、時として「やせがまん」をしてでも守り通すべき矜持(きょうじ)があるのではないでしょうか。目先の売り上げを追いかけるあまり「松屋らしさ」を見失ってしまうと、長い目で見た時に松屋ブランドの価値が損なわれてしまうかもしれません。松屋銀座のお客様は洗練されたセンスの方々だと、私は感じています。だからこそ、銀座にふさわしくないことをしてはいけない、都会的な洗練から外れたりしてはいけない。そういうことの大切さを歴史的、感覚的によくわかっている店が、この松屋銀座なのだと思います。松屋銀座はこれからも銀座に恥じない店であり続けるために、変化と進化を続けながら、「スマートな美意識」を守り続けていくことでしょう。
◎本連載は今号で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
書き手:田代 健
松屋グループの東京ファッション専門学校校長。松屋を中心に、当グループ一筋40余年のキャリアを持ち、これまでに「松屋150年史」の副編集長などを務める。
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