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行ってきたレポート vol.2「銀座・手仕事直売所」〈前編〉

こんにちは。
行ってきたレポート第2回目は、「銀座・手仕事直売所」(2025年9月17日-23日開催)。
今年で17回目を迎える松屋銀座の「銀座・手仕事直売所」。日本各地の作り手たち約100組が店頭に立つ直売所スタイルのイベントです。

作り手から直接購入するのが一番納得、そして嬉しい!と日々感じているので、どんな出会いがあるのか楽しみに突撃してきました。

作り手の熱意と伝統の美が交差する職人技

〈金網つじ〉京都
まず目に飛び込んできたのは、京金網の美しさ。

平安時代にまでさかのぼると言われている京金網。一つひとつ手作業で作られる金網つじの道具は、タフで繰り返し使用できるもの。

時代に合わせて、だけど伝統の骨格は失わない。

なのでそこに品格というものが宿る。影まで麗し。

陶器か磁器かガラスか。器によって表情が変化するであろう茶托も素敵。

「菊出し」という技法を用いて編んだ茶托。どれも美しくて選ぶのに迷う、いぶし銅、銅、真鍮。

ここのところ蒸し野菜をモリモリ食しているので、惹かれたのが桧の曲げ輪を桜の皮で綴じた「中華せいろ」。製作課程において薬剤を使用していないので安心ですし、桧なので強度と耐久性の面もカバーしてくれる。

超一流というのは美しい、ということを体現していた道具たちでした。

古き良きものに新しい命を吹き込む創造性

〈pejite〉栃木
美しい景色に吸い寄せられたコーナー。

店主の仁平 透さんの審美眼によって日本の古家具が滋味深くよみがえっていました。

熟練の職人の手によって丁寧に修理され、新たな命を吹き込まれた家具たちが楽しそうに並んでいました。

ずっと触っていたいほど滑らかな手触りの真鍮の金具が目を引いた引き出し。

木の気配に振り向くと、個の表情が美しいお皿たち。あれやこれやと重ねた時の景色を模索するが、グルグルし過ぎて分からなくなる。店主にアドバイスいただいて、欅とブナを連れて帰る。

バンコクで購入したセミの抜け殻の花器と一緒に、しばらく愛でます。

〈tamaki niime〉兵庫
ハッピーオーラを醸し出していた空間に足が向き、気付いたら柔らかいショールを触っていた。なんてしっとりとした肌触りなんだろう。

兵庫県・西脇市に拠点を置き、播州織から発想したもの作りを続けている tamaki niime。糸染めから、織り、編み、縫製、販売、発信まで一貫して行い、原料となる綿の栽培も手掛ける。

糸の段階で色をミックスしているそう。

試着室にはハギレのマット、布には代表の玉木新雌さんの「ことば」が柄に。信念を感じさせる何かが宿っていた tamaki niime でした。

〈SOSAKUBAG〉栃木
色合わせの美しさに目を奪われた楮(こうぞ)のバッグ。

小説家、映画監督、プランナー、花火師、ライターなど様々な表現に挑んできた中で何か「しっくりしない」という思いを感じていたという草作さん。

試行錯誤をしながら、ご自身の幼い頃の記憶や世界を旅した経験を表現する最適な「媒体」として辿り着いたのが、楮の樹皮でした。

和紙作家の奥様の使う楮でバッグを編めるかもしれない、と思っていたある日、突然それが色を帯びたといいます。着物の染色の仕事をしていた母、金工作家である父のもとで育った草作さん。家族の中に散りばめられた要素を集結し磨き上げ昇華する。答えが見つかった瞬間でした。

裏側にはバッグを識別するシリアルナンバーが打ち込まれている真鍮のプレート。

根っこにグッと力が入り、自然にすーっと伸びていく。そんな感覚だったのでしょうか。

 自然の色だけで編み上げた逸品。茶色のグラデーションの美しさに魅了される。

バッグにはそれぞれ名前がついていて、編む中でよみがえる情景をあらわす短いことばがそえられています。

「night desert(夜の砂漠)」(手前)には「昼の間大人しかったいきものたちが一斉に飛び出してきた」サハラ砂漠のさわがしい夜の記憶が編み込まれています。

海が好きだという草作さん、このバッグも海に纏わる記憶なのかなーと思って伺ったら、記憶に残る言葉をいただいた上司の方が着ていた青いスーツが印象に残ってて、と。

青と茶の合わせが好きで。私のこの色合わせはモニュメントバレーの巨岩と青い空、この情景からきている。

服の裏地が素敵だと嬉しくなるあの感じと同様、バッグ内側の色の美しさに感激。

「人」と「もの」の距離をゼロにする心地よい循環

〈安土草多〉岐阜
美しさに吸い寄せられた安土草多さんの吹きガラス。

ガラス作家の父の下で宙吹きガラスを学び、2002年飛騨高山に築窯。一つひとつ手作業で生み出される作品には、それぞれに「個体差」があって愛おしい。

ガラスの熱で変色したステンレス。

金色のメタルは英国から輸入されたもの。コードの光沢ある茶色とゴールドとの色合わせ、異素材が美しく組み合わさった時の佇まいに見惚れる。

〈須浪亨商店〉岡山
い草の青い香りに引き寄せられたのが、1886年創業のい草のかご「いかご」を製造している須浪亨商店。
倉敷の産業であるい草は、草自身が呼吸することによって湿度を調節し、空気をきれいにしてくれるという。

軽くてしなやかで丈夫。数年使用したのが手前の飴色のかご。自分と一緒に育つ経年変化を楽しみたい。セルフヴィンテージね。 

ものを買う時、私は「この人から買いたい」かどうかを重要視していて。最終引き渡し段階での体験がそのままその商品に乗ってくるから。クチュールメゾンだろうが、露店だろうがそこに引っ掛かりがあるといただかない。だから旅先でも、できるだけ作り手に近いところで購入する。

 1959年のチベット動乱で故国を去った方々が織るチベタンラグをいただきにネパールへ。ここで購入したかったのは、売り上げがキャンプの運営、難民の教育や福祉などに使われているから。

「製販一貫」の意味がここにある。自社で作ったものを誠意を持って説明できるのは自社の人間。

タイ・パナトニコムにある、シリキット女王主宰の「技能と雇用促進基金」の支援のもと、伝統的な竹細工の技能、製法、デザインを保存し、次世代への技術伝承のための活動が行われている〈Traditional Bamboo Handicraft Center〉

「銀座・手仕事直売所」は、作る人と買う人の距離がゼロ。
美しきもの、大切な想いが日本から流れ出してしまっている昨今、この在り方はとても健全で心地良い。松屋銀座8階から発せられた嬉しい循環は、少しずつ大きな渦となって未来へと繋がっていくのだろうな。

〈後編〉に続く

※本年の開催は終了いたしました。

バックナンバー

ファッションライターLulu.の行ってきたレポート vol.1

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Lulu.


2010年~2021まで11年間、VOGUE JAPAN でブログを執筆。馬と博物学的世界、ムー的世界を愛し、不思議を視たい!と旅に出て、「好き」と「感動」を掻き集める。高校時代に障害飛越にのめり込み、今はたまーに外乗を楽しむ50代。現在はnoteで発信。