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森さんちに、​おじゃましました​ “北欧” 経由、​暮らしを​楽しむ​「これで​いいんだ!」の​アイデアvol.33

はじめまして。​北欧の​旅や​暮らしの​情報を​発信している​森百合子と​申します。​北欧の​国々を​旅するようになって​15年ほどが​経ち、​わが​家には​布や​食器など​北欧モノが​増え、​旅先では​部屋づくりや​暮らしに​役立つヒントにも​たくさん​出会いました。​これから​月に​1回ほどの​ペースで、​わが​家で​取り入れている​北欧経由の​暮らしの​アイデアを​ご紹介していきたいと​思います。​どうぞよろしく​お願い​いたします。

本場の​ヒュッゲ

ヒュッゲと​いう​言葉を​最初に​耳に​したのは​いつの​ことだったでしょうか。​記憶に​残っているのは​もう​12年以上​前の​こと。​デンマークの​友人の​家で​クリスマスイブを​過ごすことに​なり、​その​日の​ホスト役だった​友人の​パートナーが​伝統の​クリスマス料理である​鴨肉を​せっせと​調理している​間、​「まだ​少し​準備に​時間が​かかりそうね」と​友人と​二人で​ソファに​腰掛けて、​ナッツや​チョコレートを​つまみながら​大好きな​ビンテージの​雑誌を​読みふけっていた時。​友人が​「これぞヒュッゲね」と​教えてくれたのでした。

デンマーク語で​「居心地の​いい​時間や​空間」を​指す​言葉と​される​ヒュッゲ。​デンマークが​幸せの​国と​して​注目された​こととも​相まって、​この​言葉は​世界的に​知られるようになりました。​ヒュッゲを​紹介する​本や​特集記事は​日本でも​たくさん​出されていますが、​さて​ヒュッゲに​かかせない​ものと​いえば​何でしょう?

デンマークを​旅する​時、​また​デンマーク出身の​方と​話す機会が​あると、​「ヒュッゲ」ってあなたに​とって​どんな​時間ですか?と​尋ねる​ことに​しています。​ひとりじゃヒュッゲは​できないわ!との​言葉にはっとした​こともありますし、​派手な​イベントや​海外旅行も​ヒュッゲとは​違うよう。​これまでに​聞いた​返事からうかが​える、​ヒュッゲに​必要な​ものと​いえば​一緒に​過ごす家族や​友人、​それから​ちょっとした​おいしい​もの。​これも、​すごい​ごちそうと​いう​よりは​日々の​食事の​延長に​あるような​味や、​いつもより​ちょっとだけ​良い​コーヒーや​チョコレートと​いったささやかな​贅沢の​方が​しっくりくるのだとか。​森の​そばの​コテージや​庭先で、​家族と​ゆっくり過ごす時間。​それから​安心できる​空間と​灯り。​そう、​ヒュッゲに​おいて​灯りは​かなり​重要な​役割を​果たしているようです。

暗い冬に​ともすキャンドルの​光や​暖炉に​ゆらめく​炎こそ​ヒュッゲと​話す​人も​いますし、​窓辺や​サイドテーブルなど​部屋の​あちこちに​置かれた​小さな​灯りが​照らす、​居心地の​いい​部屋を​思い浮かべる​人もいます。

数年前に​日本でも​公開された​『わたしの​叔父さん』と​いう​デンマーク映画を​見た​時に、​ヒュッゲに​ついて​改めて​考えました。​この​映画は​デンマークの​農村部に​暮らす若い​女性が​主人公で、​両親を​亡くした​彼女が、​酪農を​営む叔父を​手伝いながら​暮らす​日々が​丁寧に​描かれています。​叔父と​過ごすささやかな​日常を​いつまでも​続けたいと​願う​主人公は、​自分に​好意を​寄せてくれる​男性や、​町に​出て​獣医に​なる​夢との​間で​悩みます。

全編を​通して、​毎朝の​食事の​支度から​眠りに​つくまでの​日常が​淡々と​繰り返されるのですが、​とくに​印象に​残っているのが​夕食後の​シーンです。​日も​暮れて​暗い​部屋の​中には​ぽつり​ぽつりと​照明が​灯って、​ボードゲームを​したり、​ソファで​ごろりと​しながら​言葉少なに​過ごす二人の​時間が​なんともいえず​愛おしい。​クリスマスに​友人と​過ごした​ヒュッゲな​時間と​重なる​ところも​あって、​しみじみと​いい​シーンだったな​あ……と​今も​思い出すのです。

そして​あれが​もしピカピカに​明るい​部​屋だったら、​この​二人は​こんな​風に​過ごせたのだろうか、​とも​思いました。​ちなみに​叔父さん役の​男性は​主人公を​演じた​女性の​本当の​叔父さんで、​舞台と​なる​叔父さんの​家も​実際に​暮らしている​家、​と​聞いて​灯りの​使い方の​自然さにも​納得が​いきました。​本作は​配信でも​見られますので、​本場の​ヒュッゲな​灯りに​興味の​ある​方には​ぜひ見ていただきたいです。

さて​「ヒュッゲとは​どんな​状態であるか?」を​観察してきた​私自身も、​ヒュッゲな​時間には​ちょうど​いい​灯りが​ある​もの、と​身に​しみて​感じるようになりました。​わが​家の​中心と​なる​灯りは、​北欧の​照明です。​えい​やっとがんばって​購入した​憧れの​メーカーの​照明から、​蚤の​市で​見つけた​ビンテージの​照明スタンドや​キャンドルホルダーなどさまざまな​灯りを​組み合わせています。

リビングの​ソファの​前に​吊る​しているのは、​デンマークの​アンティークショップで​手に​入れた​もの。​キスチョコを​思わせる​ユニークな​形に​惹かれて​購入したのですが、​「この​照明デザイナーは​60年代当時は、​ポール・ヘニングセン(ルイス・​ポールセン社で​数多くの​名作照明を​手掛けた​デザイナー)と​並ぶくらい​人気が​あったんだよ!」と、​けっして​愛想が​いいとは​いえない​店主が​その​時だけは​熱く​語ってくれた​ことも​合わせて​思い出します。​こうして​手に​入れた​時の​風景が​よみが​えるような​アイテムも、​ヒュッゲな​空間づくりに​ひと​役買っていると​いえますね。

猫たちに​人気なのは​窓辺に​置いた​ブロックランプ。​ガラスの​中に​電球を​閉じ込めたような​デザインが​素敵なのですが、​どうも​枕に​ちょうど​いいようです……。

そう​そう、​北欧の​家では​カーテンを​していない​ことが​多いので、​町を​歩いていると​窓辺の​灯りや​部屋の​中の​照明が​目に​飛び込んできて、​これが​また​ほっと​した​気分に​させてくれます。​12月に​なると​星型や​ツリーを​かた​どった​照明などが​飾られて、​町を​あげて​クリスマスの​ムードが​高まるのも​いい​ものです。​わが​家では​デンマークの​クリスマスで​よく​飾られている​ハート型の​飾りを​模した​照明を​使っています。

寒さが​増し、​日が​沈む時間も​早くなる​これからの​季節は、​灯りの​存在感を​いつも以上に​楽しめます。​ええ、​そうなんです。​以前は​寒くて​暗いのは​苦手と​思っていたのですが、​灯りの​おかげで​秋から​冬に​かけて​ヒュッゲな​時間が​増えました!​そして​これは​やっぱり、​冬の​長い​国ゆえに​生み出された​知恵なんだな​あと​思うのです。

バックナンバー

森さんが​教えてくださった、​暮らしを​楽しむ​「これで​いいんだ!」の​アイデアは​他にも​たくさん!

vol.32​「ひさしぶりの​北欧!」

詳しくは​こちら

vol.31​「庭と​向き​あう」

詳しくは​こちら

vol.30​「朝ごはんの​プレート」

詳しくは​こちら

vol.29​「組み合わせると、​もっと​いい色」

詳しくは​こちら

vol.28​「桜と​北欧」

詳しくは​こちら

森 百合子 mori yuriko


北欧5ヶ国で​取材を​重ね、​旅や​暮らし、​デザインの​情報を​中心に​発信。​著書に​『3日で​まわる​北欧』​(トゥーヴァージンズ)、​『北欧​おみや​げ手帖』​(主婦の​友社)、​『いろはに​北欧 わたしに​“ちょうど​いい”旅の​作り方』​(ダイヤモンド・ビッグ社)​ほか。​執筆活動に​加えて、​NHK Eテレ『趣味どきっ!』、​NHK 総合『世界は​ほしい​モノに​あふれてる』など​メディア出演や​講演を​通じて​北欧の​魅力を​伝えている。