Jump to main content

その他|その他

行ってきたレポート vol.3 「銀座・手仕事直売所」〈後編〉

こんにちは。
「銀座・手仕事直売所」(2025年9月17日-23日開催)〈後編〉です。今年で17回目を迎える松屋銀座の「銀座・手仕事直売所」。日本各地の作り手たち約100組が店頭に立つ直売所スタイルのイベントです。

時を超え、手仕事がつむぐ物語:長野・米澤ほうき工房と木工ヤマニの共創

〈米澤ほうき工房〉長野

原料のホウキモロコシの栽培から箒作りまで一貫して手がける、松本箒を作り続ける工房。

3 代目の米澤資修さん。

驚くほど柔らかな「しなり」はクセになる掃き心地。
この柔らかさは、隙間や角のホコリをすくい取りやすくし、床も傷つけない。この柔らかく、しなる箒作りに欠かせないのが自家栽培のホウキモロコシ。

ギュッと編まれた市松模様は、糸の色により表情が変わる。美しい。

昔は一流の箒の印だったという市松模様。

小さな箒にはアロマオイルを垂らして身につけているという米澤さん。かわいいお守り。

購入時に、使い手の掃き癖に合わせて穂先を調整してくれるという。箒のクチュール。敬服。

電気も必要とせず、手入れを繰り返し40年以上も働いてくれている箒(右 の飴色の箒)を前に、便利すぎる今の私たちの在り方を考えさせられました。

〈木工ヤマニ〉長野

建具店での家具製作の経験を持つ内山翔平さんと、椅子の張り工房などで経験を重ねた未来さん夫妻から生まれるペッパーミル。長野県大町市の広葉樹をはじめ、長野県内の木材が使われています。

どのフォルムも握りやすさが重視された設計。木目の美しさとともに、選ぶのが楽しいミルたちが集合していました。
今回、「作り手×作り手」が実現したのが、この木工ヤマニと米澤ほうき工房。米澤さんがつくる松本箒の柄を木工ヤマニが担当。箒も柄の木材もすべて長野産。それぞれの特性や強みを持ち寄り、新たな世界を創造する。ここにも松屋銀座8階から生まれた素敵な循環が在りました。
(残念ながら私が行った時にはすでに完売しており、実物を拝見できませんでしたが。)

古代ロマンを現代に:安藤大悟の陶器と「いきものたち」に魅せられて

〈安藤大悟〉三重
青銅器?出土品?のような陶器に吸い寄せられたブース。
釉薬に情熱を注ぐ陶芸家・安藤大悟さんの作品。青銅器のように見えたのは、深く青い月の光をイメージした釉薬でした。

安藤さんから「兵馬俑が好きで」という言葉が飛び出した。ああ、私も!で一気に盛り上がる。

私が1974年に発見された兵馬俑に圧倒されたのは10代初め。兵士約8000体、軍馬670頭、戦車130台。この始皇帝の軍団は全軍が東を向き、敵に対する陣形は最強の布陣を構えていたという。以来この存在(謎)に魅了されている。

 テラコッタ ウォリアたち(レプリカ)

「架空のいきものたちなんですよ。どこかにある、はるか彼方の王朝の墓から出土した副葬品。そんなイメージなんです」。だから、出土品のように感じたのね。

恐竜も人類と共存していたかもしれないね、と。こういう話はずっとしていられるわー

星座の小物入れ。ぷっくりおしりが愛らしかったのは「乙女座」の器に乗っていたウサギ。天と地の境がなくなり、星たちが地上に降りてくるような夜空だったんだろうな、古代は。

「前方後円墳カップ」!グッと惹かれるネーミングもだけど、手にしっくりとくるフォルムがよかった。コーヒーでも紅茶でも緑茶でも、それぞれに違った雰囲気を醸し出してくれそう。

〈金網つじ〉の真鍮の茶こしとともに。
ゴールドと茶色の組み合わせは美しい。秋は、茶のコートに金のジュエリーを重ね付けして歩きたい。

砂漠、が浮かんだ。荷物の中に小さな一輪挿し。花を連れた優しいキャラバン。後ろ脚が折れて金継ぎされていたコを連れて帰った。

暮らしに寄り添う、天然素材の灯と美:和ろうそく大與と加賀蒔絵

〈和ろうそく大與〉滋賀
1914年、滋賀県高島郡にて創業の和ろうそく大與。

天然の植物蝋を100%使用し、熟練の職人たちの手により一本一本丁寧につくられています。

 バームクーヘンのよう

ひゃー素敵!と叫んだのが、浦嶋がろうそくを手に亀の背に乗っている
「ROCKAKU」のパッケージデザイン。

亀の甲羅、昆虫の複眼、蜂の巣、柱状節理…自然界に現れる神秘の六角形。北米大陸の最低地点、海抜マイナス85.5mのBad Waterで見た塩の結晶。

「日本書紀」に雄略朝二十二年(478年)に発ち、「水鏡」に天長二年(825年)に帰ってきたという記述がある浦嶋子。347年ぶりに帰ってきた浦嶋子って…。不老不死?タイムトラベラー?と興味は尽きない。

丹後半島にある「浦嶋神社」

カメがちょこんと。米ぬか蝋を使用した「ROCKAKU」は、蝋の垂れや、油煙が少なく安心して使える一品。

「小さなろうそくは寝る前のひと時に灯してみてくださいね。」と店主にご提案いただいた。それは素敵!「ROCKAKU」の燃焼時間は約1時間。

色合いが美しい「まめろうそく」は短燃焼時間(約15分)。

パッケージにはネズミとネコ。
和ろうそく屋はネコを飼う。それは原材料である植物性の蝋がネズミの餌になるから。だからネコは和ろうそく屋の守り神。ネコがいるろうそく屋は、天然原料を使用している証。
電気を消してゆらぎある灯を愛でたい。と思わされた和ろうそくでした。

〈大下香仙工房/ Classic Ko〉石川

カワイイ馬に足をとめた Classic Ko。

1894 年(明治 27 年)創立、日本独自の漆芸技法である蒔絵を作り続けてきた漆工芸大下香仙工房。

雅やかな加賀蒔絵が身につけられる「美」としてありました。

〈NADESHIKO brooch〉美しかった撫子のブローチ

フレームの細かい細工が見事だった馬のピン。「馬もゾウさんも鳥さんも。いきものたちみんなリングにして指に付けたい!」と勝手にリクエストしてきました。

ドードもいた。キャメルのストールに合いそうな色。

〈てつ工房〉長崎
小島鐵平さん手掛けるスリップウェア。スリップと呼ばれる泥漿(水と粘土を混ぜ合わせたもの)をかけ、模様を描く技法。

わー恐竜欲しい!みんなのリクエストに応えて即興で描いてくださっていたサンプルのお皿。次の展示には商品化されていればいいなー。

馬好きなので、馬に乗るので、どこに行っても馬に目が行く。

あらっ、おめ目パッチリのコ発見。

ずっしりと素朴な存在感。躍動感あるいきものが生き生きと描かれていて魅入ってしまう。

ラスコー洞窟が浮かんだ。器から飛び出しそうな勢いがなんとも原始の生命力を感じる。

サラダどっさり盛りたい。

17回目の「銀座・手仕事直売所」、今年のテーマは「つなぐ、つながる」。
「作り手と買う人」、「作り手と作り手」の繋がりから生み出される循環。自社で作ったものを誠意を持って説明できるのは自社の人間。「製販一貫」の意味がここにある。それぞれの強みと得意を交換し合う場。
美しきもの、大切な想いが日本から流れ出してしまっている昨今、この循環はとても健全で心地良い。

また来年!

※本年の開催は終了いたしました。

バックナンバー

ファッションライターLulu.の行ってきたレポート vol.2

詳しくはこちら

ファッションライターLulu.の行ってきたレポート vol.1

詳しくはこちら

Lulu.


2010年~2021まで11年間、VOGUE JAPAN でブログを執筆。馬と博物学的世界、ムー的世界を愛し、不思議を視たい!と旅に出て、「好き」と「感動」を掻き集める。高校時代に障害飛越にのめり込み、今はたまーに外乗を楽しむ50代。現在はnoteで発信。