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ファッションライターLulu.の「美しいは嬉しい」vol.23

ファッションって知的好奇心を満たし喜びをもたらしてくれるんです。内面のいちばん外側がファッション。

(本記事でご紹介するアイテムは、松屋でお取り扱いのないものもあります。)

2025/12/09

ジョナサン・アンダーソンによる ディオール 2026年春夏 コレクション

こんにちは。
今回は、ディオールの新クリエイティブ ディレクター、ジョナサン・アン ダーソン(Jonathan Anderson)による2026 年春夏 コレクションをご紹介 いたします。

新クリエイティブ ディレクター、ジョナサン・アンダーソン

ジョナサン・アンダーソンが、ディオールのクリエイティブ ディレクターに任命されたのは2025年5月。それも、メンズとウィメンズの双方を手が けるというメゾン史上初のデザイナーとしてでした。

この伝統あるフランスのクチュールメゾンを引き受ける、という圧はどれほどのものだったのだろう。
そこから目を逸らさず、飛び込んでいくという意志を反映したのが、コレクション会場の逆ピラミッドに映された映像でした。

ジョナサン・アンダーソンがドキュメンタリー映画監督アダム・カーティス (Adam Curtis)に依頼したこの映像は、「Do You Dare Enter the House of Dior? (ディオールというメゾンに足を踏み入れる勇気がありますか)」と、問いかけられるシーンから始まり、ディオールの歴代デザイナーとホラー映画のクリップが交互に挿入されるというものでした。

自らの不安をショー会場に配置する。そこには大いなる覚悟と挑戦がありました。

伝統と革新

メゾンの歴史に深く潜り、デザイナー自身が持つ「独自の輝き」を混ぜ合わせ新たな創造をする。

北アイルランド出身のジョナサン・アンダーソンが、メゾンの真髄である「バー」ジャケットに使用したのは、スパンコールが静かに煌めくアイルランドのドネガルツイードでした。

「バー」ジャケットは、クリスチャン・ディオールが1947年に発表したニュールックの象徴であり、戦後のファッションに大いなる希望を与えた、まさに新しい概念でした。

「バー」ジャケット

1948年秋冬のオートクチュールで発表されたドレス「デルフト」のドレープ構造を反映したカーゴパンツ。

ムッシュ ディオールが愛した18世紀の雰囲気は、ジャージー素材でも表現されていました。
デニムやジャージーといったカジュアルな素材をエレガントに昇華。これにより、ディオールの持つ優雅さは、日常に取り入れやすい「着る頻度が増える」アイテムに移行する。

ドレスアップとドレスダウンの間。クラッシイとカジュアルの間のグラデ ーションが見事。どちらかにガチっと偏らず、着る人それぞれに余白を残してくれている。
ジョナサン・アンダーソンは、伝統や時代の境界線を曖昧にし、緩やかに漂う自由を提案してくれました。

カーゴパンツに合わせるのは光沢のあるシルク。

ハンサムなジャケットには切りっぱなしのデニムのミニスカート。そこにガリアーノを彷彿とさせる帽子。

デニムのボウタイ。

ドレープが美しいシルクジャージーのケープ。

草花と小さな生き物

ノルマンディーにある家の庭園を、自然と草花を愛したクリスチャン・ディオール。コレクションもブティックもいつも草花たちで彩られています。

ディオール パリ本店「30 モンテーニュ」

花の刺繍のベストに、四葉のクローバーのモチーフが散りばめられたケープ。

張りのあるシルクと繊細な花たちの対比が美しいバルーンドレス。

草花たちはレースに刺繍に、いたるところで美しく表現されていました。

シューズとバッグ

シューズとバッグにも服に込められた要素が丁寧に織り込まれています。

クリスチャン・ディオールの時代にロジェ・ヴィヴィエ(Roger Vivier)が 手がけたアーカイヴからの着想を得たという、うさぎの耳がぴょんとはみ出たようなパンプス。歩きやすいキトゥンヒール(3cm〜5cmほどのヒール)が嬉しい。

日常で使いやすいよう、ジップを配したチェーンバッグ。

スエードのミニボストンにもジップ。

ウエストの小さなリボンが愛らしい、1952年秋冬に発表されたドレス「シ ガール (La Cigale)」に着想を得たバッグ「ディオール シガール」。

バーガンディは、ターコイズを思わせるレジンのジュエリーとの色合わせが素敵でした。

デニムには光沢仕上げのレザー。
服もバッグも靴もジュエリーも。素材や色の組み合わせ方で自分なりのム ードをつくる。コーディネートの面白さがここにある。

小さなてんとう虫がちょこんと付いている「レディ ディオール」。ムッシ ュ ディオールが好んだ四葉のクローバーの中に、

ハチさんもいます。

ハンドルとボディの色が変わると、なんて新鮮!

いつも花と小さな生き物と一緒のディオール。メンズとウィメンズ、そしてクチュールコレクションまで、ひとりのデザイナーが手がける新しいディオールの誕生です。

パリのメゾンのカーテンにも、ハチさんがひっそりと。

2026年春夏は、既存を大きく動かそうというメゾンの意志が感じられたシーズンでした。そして動かないと見えない景色がきっとある。

「私の知っていること、見たり聞いたりするもの、私という存在すべてがドレスに凝縮されているのです」ークリスチャン・ディオール

ジョナサン・アンダーソンが視る世界へ。その先へ。

松屋銀座1階ディオール

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Lulu.


2010年~2021まで11年間、VOGUE JAPAN でブログを執筆。馬と博物学的世界、ムー的世界を愛し、不思議を視たい!と旅に出て、「好き」と「感動」を掻き集める。高校時代に障害飛越にのめり込み、今はたまーに外乗を楽しむ50代。現在はnoteで発信。