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ファッションライターLulu.の「美しいは嬉しい」vol.28

ファッションって知的好奇心を満たし喜びをもたらしてくれるんです。内面のいちばん外側がファッション。

(本記事でご紹介するアイテムは、松屋でお取り扱いのないものもあります。)

2026/05/12

はじまりは偶然拾った石。ISSEY MIYAKE 2026/27年秋冬コレクション 「Creating, Allowing ーつくる、つくらないー」

こんにちは。
今回は、 ISSEY MIYAKE 2026/27年秋冬コレクションをご紹介します。

今季のテーマは「Creating, Allowing ーつくる、つくらないー」。
素材の本質と形態をあるがままに認め、作為と余白の関係性を探り、そのバランスから生まれる美に迫ります。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Matteo Gebbia (GoRunway)

石が導いてくれた、「つくる」ことと「つくらない」こと

デザイナー 近藤悟史が偶然拾ったひとつの石から始まった今季のコレクション。
もの言わず動かない存在が放っていたのはありのままの美しさ。自然の造形や素材の形態に対し、どこまで手を加え、どこから手放すのか。その「間(ま)」に生まれる余韻の美しさを引き出したコレクションでした。

〈FOUND STONE〉
石そのものの形をそのまま纏う、という発想から導かれたニット。
石の形を3Dプリンターで拡大し、無縫製で編み上げた後、一本の縫製を加えています。また、2色の異なるポリエステル糸を撚り合わせることで石のザラついた質感を再現。身体を入れることで硬い石が柔らかな印象に変化します。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Salvatore Dragone (GoRunway)

〈ALLOW〉

一枚の布をファスナーで筒状にし、身体を通すことで立体的なフォルムが現れるシリーズ。着る人それぞれの身体に委ねたアプローチは、「一枚の布」というブランドを貫く思想に繋がる。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Filippo Fior (GoRunway)

石の質感を表現するため、糸から開発した和紙混のストレッチ生地が使用されています。
糸からなんです。徹底的に素材に向き合い、その特性を知り、素材の意思を読み取りながら、対話しながらつくり上げられる服。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Filippo Fior (GoRunway)

〈UNTITLED〉

仕立てられていないような布が残る未完のかたちは、一枚の布と衣服の境界線を曖昧にさせる。
着て動くことによって完成する服。シルエットの美しさを生み出すのは、身体と布の間の空気のゆらぎ。樹脂加工を施した上質なウールが程よい張りをつくり、美しいドレープを際立たせます。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Filippo Fior (GoRunway)

〈CALLIGRAPH〉

一枚の布が身体に沿って回り込み重なり合う。一本の曲線を纏うようなダイナミックな造形が麗しいシリーズ。
含浸(がんしん)加工を施し、張りを持たせた上質なウールが、重なり合う布に陰影をもたらし、曲線を立体的に浮かび上がらせます。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Filippo Fior (GoRunway)

ねじりを加えた豊かなプリーツ

〈WRING PLEATS〉

素敵!と叫んだ立体的なプリーツ。
直線的なマシンプリーツに手作業によるねじりを加えることで、うねるような豊かな表情を実現。生地表面に施した光沢加工のツヤが、プリーツの陰影を際立たせ、奥行きある美しさを生み出しています。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Filippo Fior (GoRunway)

日本の伝統工芸を纏う

〈URUSHI BODY〉
1980年代に三宅一生が提唱した「Body Works」。この布以外の素材による服づくりの探求を再解釈したのが今季の〈URUSHI BODY〉。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Filippo Fior (GoRunway)

3Dプリンターで出力された型に、天然の糊「とろも」を用いて越前の和紙を貼り、京都の職人が漆を塗り重ね生まれたビスチェやコルセット。現代の技術と伝統工芸が融合した美しい結晶。

毎シーズン、日本の職人技を保存し、纏えるかたちにしてくれるISSEY MIYAKE。日本のブランドとしての誇りを手放さない貴重な存在。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Salvatore Dragone (GoRunway)

CAMPER × ISSEY MIYAKE Anna

「靴下を履くような靴」という発想から生まれたのが、カンペールとの協働第三弾であるAnna。TENCEL™素材を配合した柔らかいストレッチニットが足を包み込み、通気性がよく脱着しやすいのが特徴。身体がもつ本来の美しさを引き立て、「身体性」というテーマを体現する一足。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Salvatore Dragone (GoRunway)

「Creating, Allowing ーつくる、つくらないー」

今季のテーマ「Creating, Allowing ーつくる、つくらないー」。「つくらない」に、Allowing(許可する、許す、認める)という単語が当てられています。とてもいい語感だな、と思いました。素材に真摯に向き合い、それらの特性を熟知した上で「君たち自由にやってみて」と、リリースした感じ。
積み重ねて削ぎ落とした部分に宿るのが余韻。それは見えないけれど確かに存在する。デザインしない部分は、放棄ではなく天辺まで行って手放したところ。

「一枚の布」を信頼し、委ねてつくられるISSEY MIYAKEの服。布と身体がつくりだす「間」は、着る人それぞれの美しさを表現する。それはとても心地良い体験なのです。

© ISSEY MIYAKE INC. Photo: Salvatore Dragone (GoRunway)

ISSEY MIYAKE 松屋銀座店
松屋銀座4階
TEL:03(3564)6233〈直通〉

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Lulu.


2010年~2021まで11年間、VOGUE JAPAN でブログを執筆。馬と博物学的世界、ムー的世界を愛し、不思議を視たい!と旅に出て、「好き」と「感動」を掻き集める。高校時代に障害飛越にのめり込み、今はたまーに外乗を楽しむ50代。現在はnoteで発信。